My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 1
「お、おはよう」
「……起きたんなら起こせよ」

 開口一番、半眼で文句を言われてムっとする。
 起き上がって伸びをするラグを見ながら私はぼそりと言う。

「少しくらい笑えばいいのに」
「あ?」
「なんでもな~い」

 私はそ知らぬふりで視線を移した。

 風に揺れる広い草原風景を眺めながら、その時ふとエルネストさんの笑顔が頭に浮かんだ。

(うん。エルネストさんの笑顔はすごく素敵)

 そこでラグが同じように笑った顔を想像しようとしたが、すぐに断念する。

(笑顔が想像できないって、ある意味すごいかも。……そういえば、エルネストさん昨日は出てきてくれなかったな)

 セリーンがいるからだろうか。

 少し寂しく感じて私は小さく息を吐く。
 でも、彼は私達を見守っていると言っていた。
 その言葉を思い出し、私は今日も頑張ろうと気合いを入れた。
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