Only you〜伝えたかった、たったひとつのこと〜
その笑顔に、私の心が軽くなった。いよいよ、タイミングかもしれない。


「澤城くん。」


「うん?」


私の呼びかけに、澤城くんは、また私に視線を向けてくる。1つ息をすると、私は覚悟を決めて、話し出す。


「実はね・・・。私は、あなたに中学時代に伝えられなかったことがある。」


「伝えられなかったこと?」 


驚いたようにそう問い返す澤城くん。


「うん・・・。澤城くんは、私と中2の時に初めて出会ったと思ってるよね。」


「ああ。違うのか?」


「うん。あなたは気付いてなかったんだろうけど、私はその前から・・・小学生の頃から澤城くんのこと、知ってた。」


「えっ?」


「当時の澤城くんの家と、私の家って、ご近所っていう程でもなかったけど、割と近かったんだよ。学区の関係で、小学校は別だったけど。」


「・・・。」


「私達の地域って、お祭りとかそういう行事が結構盛んだったじゃない。」


「そうだったなぁ。」


「月に1回、町内の清掃があったり、バス旅行があったりして。」


「そうそう。月1の清掃、あれが結構面倒でさ。ウチはオヤジが早くに亡くなっちまって、オフクロがフルで働いてたから、俺がよく行かされてた。」


と懐かしそうに話し出す澤城くん。
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