私の中におっさん(魔王)がいる。
第三章・目論みました。
「あの、どういうことでしょう?」

 私が尋ねると、風間さんは微苦笑する。

「実は、私共は封印されてしまった魔王という莫大なエネルギーを復活させようとしておりました」
「え?」
「昔話であるんだよ。魔王って物質がね。なんでそんな名前がつけられてるのかは知らないけど、その莫大なエネルギーを手にした者は世界を変えるほどの力を得るって言われてるわけ」

 黒田くん――クロちゃんが、話しに入ってきた。

「魔王を受け入れるための器を用意して魔王の封印を解いたわけ。魔王をその器に入れるために。でも、何故かその器であるおっさんは消えて、キミが現れた」
「小娘、貴様の話によれば、白い空間とやらで出会った中年の男は、我々が用意した器である可能性が非常に高い。そいつが小娘の中へ入ったとなれば――」
「当然、魔王もキミの中ってわけだ」
「……は?」

 何言ってるの、この人達。

「贄の男に魔王が宿っていたかは不明だが、魔王は確実に貴様の中だろう」

 毛利さんは確信を持った口調で言って、風間さんに一瞬視線を向けた。風間さんは気づかなかったみたいで、私を申し訳なさそうに見た。

「我々は魔王を手にし、それぞれの願いを叶えようとしておりました。しかし、何故か貴女が我々のところへやってきてしまった。そして、おそらく、別の世界から……」
「別? の、世界?」

 ますます何言ってるの。風間さんって、残念美人なんだ。それともみんなしてからかってるとか?

「あのう、私本当にそろそろ帰りたいので……。始発多分もうやってると思うんで、駅名教えていただければ、スマホで――あ、そっか」

 ネットで調べれば現在地分かるじゃん。

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