私の中におっさん(魔王)がいる。
第四章・日本じゃありませんでした。
(冗談じゃない! 早く逃げなくちゃ! 変な宗教なんか入りたくないわ!)
部屋を出た私は、さっきの部屋へ戻るふりをして、間隔的に縁側に置いてあった下駄を拝借して庭に出た。
庭の低木や中木を縫うように抜けると、すぐに門があった。
お寺にあるような立派な門だったけど、色が特殊で全体がかすんだ青色だった。門の柱には龍の彫刻が施されている。
私は、かんぬきを外して木戸を押した。瞬間、ぱんっと弾ける音が小さく聞こえた気がしたけど、辺りを見回しても特に何もない。
(遠くで風船が割れたのかも)
誰にするでもなく頷いて、私は屋敷の外へ出た。坂の上にあったらしい屋敷の下には深そうな森が広がっている。
ちょっとだけ緊張と不安が襲ってきたけど、私は首を振って坂を下り始めた。
* * *
「日本にこんな森があったなんて……」
鬱蒼とした森だった。
森に入る前までは空に一転の曇りもなかったはずなのに、森の中は曇天のように薄暗い。今にも夜がやってきそうなほど、静かで不気味だ。
私は空を見上げた。
木々の葉が密集していて、それが日の光を遮ってる。葉の隙間からはたしかに青空が窺えた。
「それにしても、どこ行ったら良いんだろう?」
森へ続いていた坂道は、大きな湖につきあたり、そこで道が途絶えてしまっていた。私はしょうがなく、とりあえず横道に続く獣道のようなところを通ってきたんだけど……。
辺りを見まわす。
部屋を出た私は、さっきの部屋へ戻るふりをして、間隔的に縁側に置いてあった下駄を拝借して庭に出た。
庭の低木や中木を縫うように抜けると、すぐに門があった。
お寺にあるような立派な門だったけど、色が特殊で全体がかすんだ青色だった。門の柱には龍の彫刻が施されている。
私は、かんぬきを外して木戸を押した。瞬間、ぱんっと弾ける音が小さく聞こえた気がしたけど、辺りを見回しても特に何もない。
(遠くで風船が割れたのかも)
誰にするでもなく頷いて、私は屋敷の外へ出た。坂の上にあったらしい屋敷の下には深そうな森が広がっている。
ちょっとだけ緊張と不安が襲ってきたけど、私は首を振って坂を下り始めた。
* * *
「日本にこんな森があったなんて……」
鬱蒼とした森だった。
森に入る前までは空に一転の曇りもなかったはずなのに、森の中は曇天のように薄暗い。今にも夜がやってきそうなほど、静かで不気味だ。
私は空を見上げた。
木々の葉が密集していて、それが日の光を遮ってる。葉の隙間からはたしかに青空が窺えた。
「それにしても、どこ行ったら良いんだろう?」
森へ続いていた坂道は、大きな湖につきあたり、そこで道が途絶えてしまっていた。私はしょうがなく、とりあえず横道に続く獣道のようなところを通ってきたんだけど……。
辺りを見まわす。