一緒に歌おう〜国も、色も、血も越えて〜
オーストリア・ウィーン。音楽の都と呼ばれるこの街は、音楽学校や名門オーケストラであふれている。

放課後の音楽室。夕焼けが照らす中、ピアノと美しいソプラノの歌声が響く。

立派なグランドピアノを弾いているのは、黒く長い髪をサイド三つ編みにし、ミント色のふんわりとしたワンピースを着た女の子。その女の子の傍で、銀髪のベリーショートのボーイッシュな女の子が、熱心に演奏を聴いていた。

演奏が終わり、銀髪の女の子が拍手を送る。黒髪の女の子ーーー早坂音羽(はやさかおとは)は、「Danke(ありがとう)」と微笑む。

「音羽!あんた、やっぱりすごいよ!歌もピアノも完璧!!」

銀髪の女の子ーーーユールヒェン・アルレルトは、音羽に笑顔を見せながら言う。音羽は「まだまだよ」と首を横に振った。その顔は少し困ったような表情だ。

「ユールヒェンだって、フルートを上手に吹けるじゃない。私、ピアノしか弾けないわ」

「何言ってんの!先生にだってよく褒められるくせに〜」
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