部長は私を甘やかしすぎです!
第十七章

◯竜二のマンション

竜二 「雫ちゃん、疲れたろ?お風呂入っておいで」

雫  「はい」

竜二 「足痛くない?だいぶ歩いたからね」

雫  「少し痛いですけど皮とかはむけてないです。入ってきますね」


竜二は浴室の雫に声をかけた

竜二 「雫ちゃん」

雫  「はい?」

竜二 「着替え置いておくから」

雫  「はい?」

雫  (着替え持ってきてたはず……)


二十分後
雫が浴室からパジャマの上にバスタオルをかけて出てきた

雫  「竜二さん、これ……」

竜二 「プレゼントだよ。俺入ってくるね」


竜二は上半身裸にバスタオルをかけて出てきた

竜二 「あれ?雫ちゃん?」

リビング、寝室にもいなかった

雫の部屋をノックしてあける

竜二 「いた……雫ちゃん」

雫はドアから後ろ向きに座っていた

竜二はお姫様抱っこをして雫をリビングに連れていく

雫  「竜二さん、は、裸……」

竜二 「俺、夏は風呂から出たらしばらくこの格好だよ。雫ちゃん夜いないからだね(笑)」

雫  「こ、これ、ありがとうございます」

竜二 「うん、フリフリで可愛いよ」

雫  「あの……透けてて恥ずかしいんです」

竜二 「それでタオル巻いてるんだ(笑)他に誰もいないんだから」

雫をソファーに座らして冷蔵庫からビールを出してくる

竜二 「乾杯しよ」

雫  「はい、乾杯です」

竜二 「今日はありがとう。手伝ってくれて」

雫  「いえ、楽しかったです。明日は店舗行くんですか?」

竜二 「うん、気になるから少しだけ顔だしてくる」

雫  「何時に出ますか?」

竜二 「六時に起きるくらいかな」

雫は冷蔵庫から簡単なつまみを作って持ってくる

竜二 「雫ちゃんて本当にすごいなーと思って……見るとこが違う」

雫  「そんなことないですよ、竜二さんだって唐揚げや景品や飲み物の手配ちゃんとしてたじゃないですか」

竜二 「うーん、でもお客側に立てなかった、雫ちゃんがしてくれた衛生面とかね」

雫  「あの時間は家族連れが多いし子供はこぼしますからね、汚い場所に誰も座りたがらないので」

竜二 「助かったよ」

雫  「私こそ初めてエステにも行かせてもらいましたし、浴衣もパジャマもありがとうございます。お金たくさん使わせてしまって」

竜二 「彼女の初めての誕生日だからね」

雫  「汗かいたので、明日クリーニングに出しますね。大事にしまっておきます」

竜二 「雫ちゃん……」

竜二は雫に軽くキスをしてもう一度長いキスをした

雫  「んっ」

雫は竜二の体を少し押した

雫  「苦しい……」

竜二 「息していいんだよ」

雫  「私よくわからなくて」

竜二 「うん、わかってるから」

雫を軽く抱き締めた

雫  「大人の竜二さんからしたら私はまだまだ子供で、その……我慢させてますよね?」

竜二 「俺のほうこそ雫ちゃんに同棲しよって言ってさ、体目的みたいに思われるの嫌だからあえてしなかった」

雫  「魅力がないのかなって」

竜二 「雫ちゃんのこと大切にしたいからね。Hが重要じゃなくて、一緒にいてくれることの方が俺には大事なんだよ」

雫  「でも、相性が悪いとか合わなかったら別れるとか本に書いてあったりとかして……竜二さん経験豊富だし……」

竜二 「そんなの信じないでよ。二人がちゃんと好きなら大丈夫だし、Hだけで将来の相手を決める訳ないじゃん」

竜二は雫を抱き上げて寝室に向かった

ベッドに座らせてクローゼットから指輪を出してきた

竜二 「もう一つプレゼント」

雫の左手の薬指にはめた


雫  「ふぇ、ふぇーん」

子供の様に泣き竜二に抱きついた

雫  「全部サプライズすぎですぅー」

竜二 「雫ちゃん、俺のお嫁さんになってください」

雫  「ふぁい」

雫は顔をぐしゃぐしゃにして泣き竜二はバスタオルで優しく拭いてあげた

竜二 「泣かせちゃった」

雫  「だ、だって……嬉しすぎて」

竜二 「可愛いな~」

竜二は雫の涙を拭いてあげると優しくキスをした

竜二 「本読んでるってことはこの後どうするかわかってるよね?」

雫  「痛い?竜二さんは初めての人と一杯してるから大丈夫なの?」

竜二 「それは人によると思うけどね、俺も優しくしたいとは思うけど(笑)……無理はしないから言ってっていうか雫ちゃん、昔の女のこと思い出させないで、雫ちゃんとこれからスルのに……普通嫌がるでしょ」

雫  「でも、竜二さんが私のこと好きでいてくれるから大丈夫なの(笑)」

竜二 「あー、もう可愛い」

雫をベッドに寝かせて軽いキスを体に何度も落としていき雫は竜二のリード二人は繋がった

竜二 「大丈夫だった?」

雫の頭を優しくなでる

雫  「……恥ずかしかった」

竜二のたくましい胸板に頭をつける

竜二 「今日は疲れただろ、このまま寝ていいよ」

雫  「はい」

朝六時に竜二のタイマーが鳴る

竜二は止めてゆっくりと雫から離れる

竜二 (疲れてるか……夕べ遅かったし)

静かに家を出た


雫は目を覚ました

雫  (えっ、何時?)

時計を見ると九時前だった

雫  (私、携帯……)

まわりを見渡してリビングに置いてきたことを思い出す

リビングに携帯を取りに行くと竜二からメールが入っていた

竜二 ‘おはよう、疲れてるようだから起こさなかったよ。店舗見てから戻るから昼は例のものよろしくね’

雫  (竜二さん……ありがとう)

左手の指輪を見た

雫  (炊き込みご飯つくらなきゃ)

着替えて買い物に出掛けた



◯サクラスーパー中央店

竜二は店舗の駐車場とトイレ、喫煙所を店長と見てまわる

山口 「部長、おはようございます」

竜二 「おはよう、昨日はお疲れ様」

山口 「いえ、部長もお休みだったのに結局すみません。店長もありがとうございました」

店長 「予想外の人でびっくりしましたね」

竜二 「しばらくお客様の声を集めておいて下さい」

店長 「はい」

竜二 「昨日のコンテナは助かったな。お礼をしておいて下さい」

店長 「わかりました」

山口 「評判がよければ来年もしましょうね」

竜二 「やっと山口が一人前になってきたかな(笑)」

山口 「まだまだです。彼女さんにも申し訳なかったですね」

竜二 「楽しかったみたいだよ」

店長 「浴衣で動いてた方ですか?」

竜二 「そうみたいです。私が地下にいる間、何か色々してたみたいで……」

店長 「私も浴衣着てるのは売り子だと思ってたんですが枝豆持ってくるし、社員証はかけてるしおかしいなと思ってたんですよ。若い学生に見えました」

竜二 「学生ですよ(笑)三沢店のバイトなんですよ」

店長 「それで置いてある物とか把握してたんですね。ゴミとかもしてもらってたみたいで」

竜二 「どこの店舗でも大体同じ造りだからわかったんでしょうね」

山口 「もっとお話したかったです」

竜二 「いつでも、遊びに来るといい」

山口 「ありがとうございます!」
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