光りの中
1998年横浜
 姿月との出会いは丁度一年前になる。



 平成十年八月のお盆興行に彼女は来た。


 横浜市内にある小さなストリップ劇場。


「シアター アート」



 洒落た横文字で呼ばれていたその劇場は、元々はSM専門の劇場だった。



 僕がこの劇場に来たのは、その年の三月で、SM専門の劇場からオーナーが変わり、多くあるような一般的なストリップ劇場へとリニューアルされて半年程した頃だった。





 住む所も職も無く、ただぶらぶらするだけの生活を三ヶ月ばかり続けていて、いよいよ明日からの生活に困っていた時に、私はその劇場の前を通り掛かった。



 入口脇に従業員募集の貼紙を見、次に出演者のポスターを眺めた。



 ストリップ劇場であると判ると、一瞬躊躇したが、住み込み可と書いてあった文字に惹かれて私は受付の前に立った。



 実のところ、ストリップの仕事は以前もした事があった。



 千葉の劇場に僅か一ヶ月ばかり勤めていただけであったが。


 スーツ姿の年配の劇場員に働きたい旨を伝えると、オーナーが一時間後に来るからその時に直接面接をしてくれると言ってくれた。



 近くのコンビニで履歴書を買い、喫茶店のランチで腹拵えをしながら、履歴書を書いた。



 劇場での経験を約半年と経歴に水増しをし、時間が来る迄隙を潰した。



 面接はアッサリとしたもので、早速その日から働く事になった。



 それから五ヶ月が過ぎ、照明係として働いていた私は、姿月という踊り子と出会ったのである。






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