【完】ファムファタールの憂鬱
Monologue1  side:迅

突然生まれたミステリー



ほんの少し前に…広いキャンパス内で女の子を見掛けた。
その子は純和風と言った感じの子で、一瞬にして目を奪われるくらい綺麗な子だったんだけど…。

でも、しゅんと肩を落として、何かを探すような瞳には、なんとも言えない悲しみが浮かんでた。


それを見て、なんとなく…無性に笑った顔が見たくなった。

笑った顔はもっともっと綺麗で可愛いと思うのに…。



それがなんで、そんなに必死に思うのか、全然分からなかったけれど…その時はどうにか彼女のことを笑顔にすることは出来ないか、と真剣に思ってた。


でも………。
それから暫くは彼女を眺めることしか出来なくて。
それがとても歯痒かったけれど…今はまだその時じゃないんだと思って、ただ遠い場所から彼女のことを観察、いうか気付かれないギリギリのラインに、いることにしていた。


「あんな顔、俺ならさせないのに、な…」


そう呟いた言葉に、自分でも驚く。


今までそんなことを人に感じたことはなかったから…余計に謎は深まった。


本当に、なんでこんなに気になるんだろう…?



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