【完】ファムファタールの憂鬱

憂鬱な毎日



何時からだったからはもう、分からない。
でも、気付いたらそういう体質になっていた。

鏡の中の私は、部屋の明かりが反射して瞳がキラキラと輝いて見える。

…本人の意図とは正反対に。
その瞳を見て、私のテンションはだだ下がり。

「…はぁ…」

またもや多い深い溜息が出る。
それは果てしない。
それから、思い出したようにもう一度、喚く。


「てか、大体モテもしない私に興味本位で声なんか掛けてくんなっつーの!腹立つなっ!」


たんたんたんっ


もう一度床を踏むと、私は鏡から逃れるようにして部屋に入って、ぽすんと独り身にしては大き過ぎるダブルベッドに身を投げる。

そして、元の姿に戻るまでのほんの少しの時間を静かに過ごすべく、そのまま丸まって眠りに就いた。


嘘のような本当の話。

紛れもしないノンフィクション。

誰にも言えない、私の秘密。


落ちていく、夢の中。
反転したり歪んだり…。


…………。


子猫の姿になった私はいつも深い眠りに就く。
そしてその夢の中では、いつも同じシーンが浮かぶ。
それは遠い遠い記憶。


…でも、あれって、なんなんだろう?
覚醒するとすぐに忘れてしまうんだ…。



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