願い婚~幸せであるように~
これからも続く
デスクで持参した弁当を広げようとしたとき、『平原さん、内線です』と呼ばれた。

ワンフロアになっているオフィスで内線をかけてくるのは、会議室からか社長室からしかない。

昼休みに入った今、会議はしていないから会議室には誰もいない。だとしたら、内線を掛けてくる心当たりは一名だけ。


「お疲れ様!」

「榊社長……。お疲れ様です」

「昼ごはん持って、こっち来て」

「分かりました。すぐに伺います」


ランチバッグから出した弁当箱を戻して、社長室へ向かう。その前に、愛妻弁当を食べている課長にもしかしたら昼休みを過ぎて戻るかもしれないと伝えた。

社長が私を呼ぶのは幸樹さん絡みの話だろうと予測しながら、社長室のドアをノックした。


「へー、今日のお弁当はオムライスなんだね。で、そのハートは自分で描いたの?」

「いえ、これは幸樹さんがやりました」

「やっぱり幸樹くんか。いいね、ラブラブな新婚さん」

「はあ……」


今日の朝食はオムライスで、そのついでに私の弁当もオムライスにした。家ではデミグラスソースをかけたが、弁当のはケチャップにした。

私が冷蔵庫から出したケチャップを俺にやらせてと幸樹さんが取り上げてかけたが、まさかのハート……。デスクでこっそり開けて、ささっとハートを崩そうと思っていたのに、社長に見られる事態になるとは……。
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