願い婚~幸せであるように~
届いたビールとウーロン茶で小さく乾杯する。「プハー」と美味しそうに飲む淳平が正直羨ましい。

焼き鳥のほかにサラダや揚げ出し豆腐などを食べて、淳平は早くも三杯目を飲んでいた。


「和花、幸せ?」

「んー、よく分かんない。幸樹さんは優しいから、穏やかに過ごせて、疲れはしない。これが幸せというものなのかな?」

「いや、それは幸せとは違うと思うぞ。結婚式でのふたりは幸せそうで、俺はかなり複雑な気分だったよ」

「複雑? どんなふうに?」

「ずっと一番近くにいた男は俺だったのにさ、突然結婚なんて決めるから」


淳平は恨めしそうな顔で私を見てから、ビールを一気に飲み干した。高校卒業してから一番近くにいたのは淳平ではあったが、淳平にとって一番近くにいた女は私ではない。彼女がいたはず、いや、いるはずだ。


「なに言ってるの? 彼女とうまくいってないの?」

「彼女? あー、別れたこと言ってなかったっけ?」

「別れた? 聞いてないよ。いつ別れたの?」

「去年」

「は? そんなにも前に?」


彼女が出来たと聞いたのは二年前だった。同じ会社の人だとも聞いてはいたけど、詳しく聞くとなぜか不機嫌になっていたから、照れているのだろうと思って、あまり聞くことはしなかった。
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