香りであなたを癒やします ー 王太子殿下、マッサージはいかがですか?
6、優しくしないで
「……ん?」
朝、目を開けると、枕元にスマホがあった。
夢かな?
目を擦ってもう一度確認するが、やっぱり私のスマホ。
どうして?
ベッドになんかなかったはず。
それに……私いつの間に寝てしまったのか。
アレンのマッサージが気持ちよくてそのまま寝ちゃったのかな?
彼は自分の部屋に戻ったのかここにはいない。
このスマホ……アレンが枕元に置いたの?
それしか考えられないんですけど……。
だとしたら、スマホを見てどう思っただろう?
サーッと顔が青ざめる。
あ~、なんて言って誤魔化そう〜。
この世界で身近にあって、貴族の令嬢が手に入りそうなものっていったら……オルゴールよね?
そうよ。スマホで音楽が聞けるし、異国のオルゴールだと彼に言おう。
ハーッと息を吐く。
「今何時だろ?」
暖炉の上にある置き時計は朝の刻となっている。
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