香りであなたを癒やします ー 王太子殿下、マッサージはいかがですか?
8、彼女の救出ーアレンside
「ほら、服を脱いで横になれ。十数える間だけ目を閉じてやる。一、二、三……九、十。なんだ。まだ脱いでないじゃないか。そんなに俺に脱がされたいか?」
マッサージするのに服を脱ぐようクルミに言ったが、彼女は俺が数え終わっても、腰紐を外してもいなかった。
その表情が少し固くて軽口を言ってリラックスさせようと思ったら、彼女がじっと俺の顔を見つめてきて……。
キスしたいって思った。
だから、彼女に引き寄せられるように口づけた。
彼女も最初は俺のキスを受け入れていたのに、急に俺の胸に手を付いた。
「クルミ?」
キスをやめたクルミに声をかけると、彼女は俺から視線を逸して言った。
「や、やっぱりマッサージはいいです。アレンも早く寝て下さい」
俺から離れ、彼女は部屋を飛び出す。
今日の夕食で顔を合わせた時から、クルミに避けられているような気がした。
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