香りであなたを癒やします ー 王太子殿下、マッサージはいかがですか?
11、永遠にあなたのそばに
「クルミ、ドレスが出来上がったの。袖を通して御覧なさい」
今は私のものとなった衣装部屋で、セシル様は純白のウェディングドレスを広げて私に見せた。
薔薇のレースの刺繍が見事で思わず目を奪われる。
「こんな素敵なドレス……見たことない」
そんな感想をもらせば、セシル様はにっこりと微笑んだ。
「オスロンの仕立て屋は最高よ。刺繍の技術はこの世界で一番だと思うわ。きっとクルミに似合うわよ」
火事から一ヶ月後、私とアレンの結婚式の準備が進められている。
身体の痣はもうすっかり消えてなくなった。
薬草風呂とルーカスが送ってきてくれた塗り薬のお陰だと思う。
パルクレールの女達を攫った犯人は彼が見つけて監獄送りにしたらしい。
ルーカスが薬と一緒に送ってきた書簡によると、彼が王位につくのは、私とアレンの結婚式と同じ日だった。
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