ただ愛されたいだけなのに

7.



   —正紀でも先生でもない人—


 中学の時の同級生……一年に一度か二度遊ぶ程度のあきちゃんから、久しぶりに連絡がきた。
 
 あき:うちの彼氏の友達が、夢のことすっごく
    気に入ったみたいで、紹介してもいい?

 あきちゃんの彼氏が誰なのかも、あきちゃんの彼の友達が誰なのかもわからない。そもそも、あきちゃんに彼氏がいたことも知らなかった。というかあきちゃんとは元々そんなに仲良くない。

 それでも嬉しくなったわたしは「いいよ」と返事した。正紀という、遠距離恋愛中の彼氏がいながら、わたしは見知らぬ男と連絡をとる。正紀を裏切るつもりじゃない。だけどもううんざりだった。仲直りをして二日でお互いメッセージを送り合わなくなった後だから。
 二日間のやりとりは、なんとも味気なく、意味のないものだった。一日は電話をした。三十分の間に、わたしはすくなくとも四回は話題を作った。正紀はそれに返答するだけで、話題どころか会話を盛り上げようという努力すらしなかった。十五分も沈黙があり、とうとうわたしから「おやすみ」と電話を切って以来、またもやわたしたちの間にある唯一のメッセージがなくなったというわけ。


< 104 / 167 >

この作品をシェア

pagetop