ただ愛されたいだけなのに

8.



 —わたしを好きになる人は、いつも変—


「どこにいる?」
 勇太の周りが騒がしい。
 待ち合わせの街の一角に、わたしは五分遅刻して到着した。車を駐車場に停めている最中の勇太に電話をかけて、休日の暇人でごった返す歩道を見つめた。
 わたしは風に揺れる髪をおさえつけた。
「えっと……タバコ屋の前」
「あ、いた」
「えっ⁉︎」
 通話が切れた。
 辺りを見回してみる。たくさんの通行人の中から、見たこともない勇太を探すのは困難だ。というか、不可能。もう一度電話をかけようとスマホの画面を見た瞬間、肩に手が置かれた。

「夢」

 振り向くと、予想をはるかに上回るイケメンが立っていた。

「ゆ、勇太?」
 わたしは鳩が豆鉄砲をくらったような顔でたずねた。
「うん。どこ行く?」
 目の前に立っている勇太が笑う。
 うそ、これって冗談? 
「……どこでも。ま、任せる」
「じゃあ……カラオケでも行くか」


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