ただ愛されたいだけなのに

3.




     —『端』のつく人物—


「管理人兼マネージャーの白田です」
 優しい笑顔に見えるけれど、きっと彼も厳しいんだ。わたしのやること全てにケチつけるの。そういえば、この人が面接をしたっけ。

 わたしは先日、ハローワークの窓口で、担当者が選んだカフェ・レストランのウェイターの仕事に、文句一つ言わず、連絡して面接を受けた——というのは強がりで、文句を言える立場じゃない。資格も実績もないわたしは、飲食店やコンビニのレジといったバイトしかできないのだ。

 嘘っぱちの志望動機を喋るままに並べて、さっそく二日後にはシフト表が郵送されてきた。

「中を案内するからついてきて」
 上品にセットされた黒っぽい髪に、体格のいい体をしている『管理人兼・マネージャーの白田』は、わたしの大股が彼にとって普通の歩幅だ。

 わたしは小走りで後に続いた。カントリーハウスのような店内を、端から端まで説明を受けながら歩き回る。一日じゃとても覚えきれないことを教わったところで、開店の時間がきた。


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