ど天然彼氏の可愛がり方。-六花の恋・外伝-【完】

「本当に毎日、想の話ばかりするんだよ。それは保育園の頃からなんだけど、小学生になって、美結は想を好きだって自覚した。

美結が純粋に想を好きだから、両親は自分たちの考えをやめた。……うちに来たとき、想のこと大歓迎だったでしょ? 美結が片想い長かったから、本気で喜んでるんだよ。でも……」

「………」

「僕は――僕も両親も、想が美結を好きになってくれて、恋人になってくれて、美結の長年の片想いが実って嬉しい反面、不安で怖いよ。

僕らはそういう結末を選んだ恋人たちを知ってしまっているし、ましてや美結はその血を引いている。良い面にしろ悪い面にしろ、親に似るのはよくあることだよね? 

美結を大好きな想に、別れろ、なんて言わないよ。でも……想、頼むからそんな現実に直面する前に、起こりうる可能性の一つとして……そういう現実もあること、考えておいてほしい」

――僕は兄さんの真面目な声を、初めて聞いた。

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