海賊と宝石の歌姫
海の上、募る独占欲
カヤが目を覚まし、買い物も済ませたので、海賊アレスの船はスペスからハナダへと再び向かうことになった。

カヤは少しずつ回復し、今では歩けるようになっている。そこで、食事をセダたちと広間で食事を摂ることにしたのだ。部屋に篭りっぱなしはよくないとグレースたちに言われたからだ。

「カヤ・アイカワです。歳は十八歳でハナダ出身です。不束者ですが、どうぞよろしくお願いいたします」

広間でカヤは船員たちの前に立ち、挨拶をした。微笑み、ぺこりと頭を下げるカヤを見て多くの船員が頰を赤く染める。

海賊という世界では、女性の存在はほとんどない。この船に女性はライリーとグレースしかいないが、ライリーは異性に興味はなくグレースは結婚している。

船員たちにとっては、カヤの存在は女神のようだろう。カヤを見る目がどこか美しい宝石を見つめるような目だ。

「よろしく、カヤちゃん!」

船員たちはニコニコ笑いながらカヤを温かく迎える。カヤは安心したようにまたにこりと笑った。
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