何の取り柄もない田舎の村娘に、その国の神と呼ばれる男は1秒で恋に落ちる【前編】
「もー、どうしよう!夕食までもうあんま時間ないのにー!」

その頃、華子は天音が見つからず、ひどく焦っていた。
時刻は夕刻。天音のことは心配だが、華子もそろそろ城に帰らなくては、自分の身も危うくなる。
なんせ、夕食の点呼に間に合わなければ、城を追い出されてしまうのだから。

「わかった!わいが探しといたる!」

りんは、困っている華子を放っておけなくなり、そう申し出た。

「本当!ありがとう!じゃ、よろしく!」

華子は天音の事をりんに託し、城へと走り出した。

「さてと、どこ行ったんかなー?」

引き受けてみたものの、天音がどこにいるかわからないりんは、地道に探すしかなく、また足を動かした。

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