恋の駆け引き~イケメンDr.は新人秘書を手放せない~

SIDE真之介  もう離さない。

「おーい・・・並木?・・・並木いないのか?・・・おーい」

リビング、キッチン、風呂場、仕事部屋、寝室。
マンションの中をグルグルと回っている30男。
誰にも見せられない姿だが、今はそんなこと言っていられない。

プープープー。
いくらかけても携帯はつながらない。

「一体どこに行ったんだ」

朝起きたら彼女がいなかった。
キッチンもリビングも、洗濯物も綺麗に片づいていた。

昨日は遅くなるとわかっていて、俺は先に寝室に入ってしまった。
先日、帰宅時間のことで言い合いになり「出ていきます」と宣言されてしまったからには、起きて待たれるのも嫌かもしれないと、俺なりに気を使ったつもりだった。
実際、10時半ごろに帰って来た時の音は確認した。
間違いなく帰っては来たんだ。
じゃあ、なんで・・・
おかしい、絶対に何かあった。
そういえば、昨日はミーティングだったはずだ。
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