恋の駆け引き~イケメンDr.は新人秘書を手放せない~
「それで、お前の仕事なのか?」
よほど腹が立ったのか、ふてくされ気味。
「いえ、院長の依頼。急ぐらしいんです」
「ったく、自分の秘書にやらせれば良いだろうに。何で並木なんだよ」
男のくせにネチネチ言うなと、言いたいのをグッとこらえた。

「だから、もう1人、」
「違う。親父が新しい秘書を入れれば良いだろう」
ここまで来ると子供の癇癪ね。

でも、総務課長の方が一枚上手だった。
「でも、珍しいですね。副院長がこんなに気に入る秘書なんて」
「はあ?」
部下でもありボスの親友でもある総務課長は、院内で唯一対等に意見が言える人。
「だって、今までそんなこと言ったことないから?」
「それは、確かに優秀だし、他の奴みたいにこびてこないからだ」

はーん、他の秘書さんみたいに女性的な魅力があるわけじゃないからやりやすいと。
結局、私が女に見えないって言われているみたい。
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