今、私はそれを捨てに行く。
プロローグ
 私は荷物を持っている。

 一体なぜこんなものを?

 重くてとても苦しいのに。

 だけど、捨てたいと思ったことは一度もなかった。

 私はそれに縋っていた。

 それを持ち続けることで、自分が自分であると感じることができた。

 楽しいときも苦しいときも、私はずっとその荷物を持っていた。

 宝物ではなかった。むしろ、ガラクタ同然だった。

 ガラクタを見て自分が自分だと感じるなんて、おかしな話かもしれないけれど、確かにそのガラクタは、私にとって、私そのものだ。

 決心したことがある。

 今までの私とはさよならをして、旅に出よう。

これはその、旅の準備のようなものだ。

 
 
 _____きっと今、私はそれを捨てにいく。
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