【番外編 完】愛を知らない彼
深まる想い 〜康介〜
ロンドンの出張は慣れているとは言え、忙しいには変わりない。特にトラブルもなく進められた。
仕事がひと段落すると、つい頭に浮かぶのは千花さんのこと。
朝夕に送るメールに、必ず返事をくれる。
たまに電話をかけると優しい声を聞かせてくれる。

自分が思っている以上に、彼女のことが好きになっている。

この気持ちに正直に進んでもいいのだろうか。両親の苦い思いがよみがえってくる。
でも、これほどまで好きになった彼女を思うと、いてもたってもいられない気持ちになる。人を好きになってもいいのだろうか。

自分の中の彼女に対する引き返せないほどの想いに戸惑いつつ、すでに彼女がいない日常を考えられなくなっていることに気がついた。


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