サヨナラのために


「美羽」


腕を掴まれて、タオルがするりと落ちる。


真剣な瞳に捕らえられて、ハッとする。


「子供扱いしないで」


そのままグッと押されて、視界が反転する。


「俺のこと、弟みたいだって思ってる?」


顔が、首元に埋まる。唇が首筋に触れて、熱い息がかかる。


「ちょっ…ん」


「こんなこと、してるのに?」


耳元で囁かれた低い声に、体がゾクゾクする。


「美羽」


「…っダメ!!!」


私はなんとか力を振り絞って、誠也の胸を押し返す。


「ばか、ここ外でしょ!!誰かに見られたら…」


「ふーん、じゃあ家だったらいいんだ?」


「なっ…」


「美羽の変態」


余裕そうに笑って、誠也はそう言う。


「ばか!知らない!私もう帰るから!」


私はもつれそうになる足で、誠也の元から逃げる。





…ばか。


余裕なのは、誠也だけだよ。





私のこと子供扱いしてるのは、誠也じゃん。



< 40 / 153 >

この作品をシェア

pagetop