「では、今回のご依頼のご報告をさせていただきます。瀬戸(せと)さんの婚約者さんである富谷(とみや)彩月(さつき)さんは、別の男性と関係を持っているようです」


俺に気を使うことなく、淡々と話しているのは、探偵の結崎(ゆいざき)(さち)さん。


二週間前、彩月の様子がおかしいと思い、俺は彼女に依頼をした。
その結果を、今日聞いているわけだけど。


もっとこう、他人を思いやった言い方が出来ないのか。


なぜここまで躊躇いなく話す。


「瀬戸さん、聞いていますか?」
「へ?あ、すみません……」


彩月の浮気にショックを受け、視線を落とす。
しかし、そこに容赦なく結崎さんは写真を見せてきた。


鬼か。


「富谷彩月さんは本日も密会してます。瀬戸さん。どうされますか?」
「どう……とは」


ゆっくりと視線を上げると、結崎さんは口角を上げた。
その笑みに、背筋が凍る。


「乗り込みませんか?」


どうして他人の不幸を喜んでいるんだ、この人は。


言葉が出ない。
恐怖しかない。


「……俺の不幸を見たいなら、十分じゃないんですか」


すると、彼女は目を見開いた。


「私、そんなこと言いました?」


そこまでわかりやすくしておきながら、なぜバレないと思ったのか。