……本当に満足そうな顔してんじゃねえよ。
自分で追い込んでおきながら。


「行きましょう」


結崎さんは俺が戸惑っているのも気にせず、手を引っ張った。


そして俺は探偵事務所に連れてこられた。
よくわからず、調査報告を聞いていたソファに座らされた。


「瀬戸さん、ご職業は?」
「就活中の大学四年ですけど」


結崎さんの質問に戸惑いながら、素直に答える。
机の引き出しを漁っていた結崎さんは、手を止めて顔を上げた。


「学生なのに、婚約者……?」
「卒業したら結婚しようかと」


俺の答えに納得してくれたのか、作業を再開した。


「少しの間でもいいので、助手、しませんか?」


探し物が見つかったのか、それを見せてくれた。


求人、ですか。
就活中って言ったのに。


「時給高くないですか」
「危険な仕事も含まれますし」
「あ、遠慮しときますー」


チラシを机に置き、出入り口に向かう。


「今回の調査費、全額返金……」


なんだって?


振り返ると、笑顔の結崎さんがいる。
なにも読み取れない。


「バイトをすれば、ですけど」


罠だ。
彼女は俺が「はい」と言うよう仕向けているんだ。


そこまでわかっていたのに、俺は今回の調査費を受け取った。