溺愛旦那様と甘くて危険な新婚生活を



 「春になってきたからいろんな花が咲いてるでしょ?だから、今度はお花見かなって話してたの。」
 「そう。……楽しそうね、花霞。」
 「え………そうかな?」
 「うん。私にのろけ話なんかした事ほとんどなかったじゃない。」


 学生の頃は、男性と付き合う事などなかったし、玲と恋人になってからも、そこまで栞に話をしようと思わなかった。
 それなのに、椋との事はつい話をしてしまうから不思議だった。


 「………確かに。あんまり話したことなかったかも。」
 「急に決めた結婚だっし、訳ありだったけど、花霞が幸せそうで安心したよ。」
 「………うん。今は笑って過ごせてる、かな。………ありがとう、栞。」


 いつも心配し、花霞の話も楽しそうに聞いてくれる栞に、今度何かお礼をしなければな、と花霞は思った。


 「私は何もしてないわ。あ、そういえば、あのおじいさんからまた電話があったから、今日の夕方に行ってきてくれないかな。」
 「あ、電話きたんだ………。お店が落ち着いたら行ってくるね。」


 そう言いながら、花霞はその時のためにどんな花を使おうかと考え始めた。




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