人間サイコロ
文字
「……クリアしたの?」


あたしはなにも変化のない画面を見つめて呟いた。


カウントダウンは停止していて、ホナミのキャラクターも消えていない。


ジッと画面を見つめていたその時だった。


不意に画面中央に包帯男のキャラクターが現れて《クリア》の文字が表示されたのだ。


「やった、クリアだって!」


飛び跳ねて喜んだのもつかの間、これでホナミが2マス進んだだけなのだという現実を突きつけられて、絶望感が湧いて来た。


ホナミは気絶したまま目を覚まさないし、このままこんなゲームが続けばいつ死んでもおかしくはなかった。


「止血はしたから、目は覚めるはずだ」


今までホナミの治療をしていたイクヤがそう言った。


治療と言っても、ハンカチがティッシュで傷口を塞ぐ程度のものだ。


それでも、血が止まったと言うことで安心した。

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