【完】俺がどんなにキミを好きか、まだキミは知らない。

プールサイドでひみつごと


灰野 伊吹Side*



……俺ヤバくない?

頭おかしいだろ、またダサいことした。


でも藍田さんがナギのことばっかり見すぎだから。

あんなの普通にむかつくだろ。


それで……。


俺は昨日、あれだけ渾身の想いを赤裸々に伝えたのに。



「ナギちゃんこっちのデッキブラシの方が新しいよ」


「まじ。さんきゅー」


俺の話が微塵も届いてなくてびっくりする。


「……は、灰野くん、これどうぞ」


藍田さんはこっちに顔さえ向けず、デッキブラシを俺に差し出した。


「……あ、どうも」


残ったのはこの気まずい空気と、「何かあったの?」とでも言いたげな生ぬるい四方からの視線だけだ。



「……最悪」


なんでこうも、うまくいかないんだろう。




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