【完】俺がどんなにキミを好きか、まだキミは知らない。

灰野くんと藍田さん


藍田胡桃SIDE*



「でも……」


でも、あたし、ナギちゃんにそんな話してないよ。


彗とリホちゃんには話したから、そこから聞いたのかわからないけど……。


あたしだって、そんな話ナギちゃんにできるわけないのに。


……そんなことするように見えるの?


誤解しないで。


そんな軽蔑した目で見ないで。


どうして声にならないんだろう。


「ごめん、教室戻るわ」


そう言って離れていく灰野くんに、「待って」さえ言えなかった。


涙をグイッと拭って、震える息を細く吐いた。

その日のお昼休み。


食欲もないし、気分転換に廊下を歩いていたら、渡り廊下の方に灰野くんの姿が見えて咄嗟に柱の影に身を隠した。

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