部長様に奉仕したい
部長さんはド天然
「痛かったよ…」私は痛めた背中をさすりながら、成瀬奏多と名乗る男子に言った。

「ごめん、ごめん…ってか君の名前は⁇」

(ってか、なんでこの人が部長⁇…)


花と広斗の方を見る。花は知らない男子が来たからなのか、恥ずかしそうにして、何も言わず黙ったままだ。

広斗は奏多の方をずっと見ているだけだった。



だめだこの人達…



「そんなことより、成瀬くんが何で部長なの⁇」私が一番聞きたかったことを聞いてみた。



「てっきり聞いてると思った。」
成瀬奏多は悪戯っぽく笑う。



「怪我でバスケ部ができなくなったから、この部活に入る事になったんだ、バスケ部で部長やってたし、やってみないか⁇って先輩に誘われたんだ」少し困って私たちに言ってくる。



(何それ…こんな知らない人が部長でいいのかな?みんな、なんか言ってよ。)


「いいんじゃないかな⁇」花はいつもの10分の1ぐらいの小さな声で言った。



(男の前だからって…)



広斗はボーッと突っ立っているし…




私が、納得いかない表情をしていることに花が気づいて言った。
「みーちゃん背中痛くない⁇」





(話そらすの⁇)




「みーちゃんかぁ、」
そう言うと成瀬奏多が考えこんだような表情になった。






「あのさぁ…」
私の方を見つめて成瀬奏多が言ってくる。



「どうかした⁇」
私は戸惑いつつ聞いた。
(そんなに見つめないでください…)



「みーさんって呼んでもいいかな⁇」


(んっ?
花が私のことみーちゃんって呼んでたから⁇)


「いいけど…なんで、みーさん⁇」



「だって、僕よりも前からこの部活にいたってことは、僕より先輩じゃんか。」


(そういうことかぁ。この人意外と可愛いかも)


「まぁ、いいけど。後輩くん。そっちはなんて呼べばいい」私は頑張って作った笑顔で言った。



そして、私の後輩くん成瀬奏多は考え出した。



(単純に考えて、この人がなぜか部長らしいから………)



部長でよくないか?…


「部長!!」
私たちは同時に口にした。


なんか、笑えてきた。


「お前ら気持ち悪いな…」
広斗がボソッと口にした。


「ひどいなー君ー!」
部長が笑いながら言った。



教室は笑いに包まれていた。
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