その後、風香の行くへは分からずその日は帰って来なかった。


 心配しながら仕事をしていた蒼汰。


 風香が行きそうな場所を探してみても見つからない。


 警察に捜索願を出すべきか? でも、原因を聞かれたとき、嫌な思いをするのは風香だろう。

 そう思って躊躇していた。


 

 数日後。

 仕事帰りの蒼汰は、軽く外食をするために駅前のカフェに寄った。


 風香が居なくなり食欲があまりない蒼汰。


 軽く済ませようとカフェでパンと珈琲を頼んだ。


「あら? 副社長じゃないですか」


 声をかけて来たのは同じ職場の可愛い系の杉原という女性社員だった。

 独身の彼女は夜は外食が多い。


「副社長、どうしたんですか? こんな時間にカフェなんて」

「ああ、ちょっと奥さんが今外泊中だから」

「え? そうなんですか? 」

 そう言って杉原は蒼汰の前に座った。


「奥さんどうかしたんですか? もしかして、お子さんですか? 」

「い、いやそうじゃないけど。実家で、色々あったようで」

「ふーん。いいですね、副社長が優しいから気軽に実家に帰してもらえて。うちの母は里帰りさせてもらえなかったって、いつも話していましたよ」

「そうなんだ、それは大変だな」

「昔はそうですよね。今は違いますけど。私も早く結婚したいです。なかなか彼が応じてくれませんけどね」

「そうなのか? 」

「ええ、まだまだ仕事を頑張りたいそうです」


 
 蒼汰と杉原が話しているのを、偶然通りかかった風香が見た。

 

 カフェで楽しそうに話している蒼汰と杉原を目撃して、風香は茫然と見てしまった。



 話をしていた蒼汰が何となく見ると、そこに風香が居た。


 驚いた目をして蒼汰はすぐに外に飛び出した。



 だがもう風香の姿はなかった。