キミ、が欲しい
【キミ、に決めた】



高校入学式。



柄にもなく新入生代表の挨拶の為に壇上へ上がる私。



どよめいた、なんてよくある表現法だけどまさにその通りな空気だった訳で。



え?何がって?



だって私、、、、、



俗に言う「モテ女」だったり?
「モデル顔」とも言われていて……
自分で言うのも何ですが、とにかく整った顔、抜群のスタイルを併せ持った美女…らしいです。



そしてトップ成績で入学しちゃう才女とくれば怖いものなし…ですね。



「新入生代表、結城 星那(ユウキ セナ)」



淡々と短い挨拶文を述べ、名前で締めくくる。
この件で完璧に顔を覚えられた事もあり、私の教室にはひっきりなしに男子が顔を見に来る。
違う校舎の3年生までも休み時間には足繁く通う始末。



中学も一緒だった仲の良い友達、麻衣子と梓は常に行動を共にしてくれる有り難い存在なんだ。
移動教室や食堂にまでも何かと囲まれちゃったりしてる。



「彼氏いるの?」
「LINE交換しようよ」
「友達になろう」
「一緒にカラオケ行かない?」



毎日よく飽きないね。
正直ウンザリしていた頃。
昼休み、激混みしてる購買。



「おばちゃんおばちゃん、焼きそばパン…!」



人だかりの後ろの方で割って入ろうとするもあえなく失敗している男子が目についた。
ピョンピョン飛び跳ねたり、手を振って応戦するけど結局誰かに押されて尻もちついちゃった。



そのはずみで落ちた黒縁メガネ。
おそらく尻もちついた彼のメガネだろう。
綺麗なほど弧を描いて私の足元に落ちてきた。






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