キミ、が欲しい
【体育祭】



全学年参加の最初のイベントと言えば体育祭。



元陸上部だと言うだけでリレーに抜擢されるとか正直ウンザリなんだけど、何故か借り物競走にも選ばれちゃって絶句。



「結城さん、お願い…!」



そんなすがる目で見られても困るんだけど、それ以外はナシという条件で引き受けることに。
ハルは綱引きとリレーの第二走者みたい。
私はアンカーだけど。



A組はピンクのハチマキ、D組はブルーのハチマキ。
クラスごとに色分けされている。
「競技全部終わったら交換しようね」って予約したら真っ赤な「うん」が返ってきました。




雲ひとつない青空の下、体操服とハーフパンツで開会式。
整列してるとチラッとD組のハルが目に入る。
何回か目が合って手を振り合う。
前後に並んでた友達にからかわれたりしてて、ふざけた友達が私の方へ手をふってきたから麻衣子たちと手を振り返してあげた。



他の競技が行われてる時はハルのクラスに遊びに行こうと思ってたんだけど、やたら2年生3年生が集団で写真撮ろうと言ってきてる。
楽しい場だしということで了解したら次から次へとキリがない。
勿論、麻衣子と梓も一緒にだ。



というか、私もハルと撮りたいのに。
やっとの思いでD組に行けたものの、ハルの姿が見当たらない。



「結城さん…?」



背後からする声に振り返ったらそこにはハルが立っていた。



「え?メガネ…どうしたの?」



そこにはコンタクトじゃなく、メガネをしたハルが。



「ごめん、綱引きの時倒れちゃって片方落としたから」



「え、もう綱引き終わったの?」






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