キミ、が欲しい
【水泳大会】



例の未遂事件で初の夏休みは幕を閉じ、2学期がスタートした。



「ハル、おはよー」



「お、おはよー結城…さん」



「えぇ?結城さん?」



「いや、その……」



未遂で終わったこと、本人は色々と気にしてるのかな?
なんか、よそよそしい。
せっかく星那って呼んでくれてたのにな。



「え?なになに?結城さんってどういうこと?」



どうしたもんか、と考えてた矢先。
何となく不自然な私たちを見て、麻衣子と梓が聞いてきた。



「あー!もしかして2人……」



思いっきり指さされてるんですけど?
勝手に自己判断した麻衣子はポッとピンク色に頬染めて…



「ついにヤッちゃったか」



「イヤン」と梓もノリ出した。
あ、このくだり面倒くさいやつだ。
言葉にならずもそう言われたハルが必死に否定しようとしたから勝手に体が動く。



人差し指で唇押さえたら、「最高…だったよね?ハル」と耳元で言ってみる。




悪ノリにノッかってみた。
2人の「キャー!」という叫び声が靴箱エリア中に響いたのは言うまでもない。



「どーすんの、あんなウソ…」



2人きりになったら慌ててるハルにフッと笑う。



「別にいーんじゃない?言わせておけば」



「で、でも……」



「じゃあ本当にしちゃう?」



「え、えー!?」



「うそうそ、じゃーねー」



朝から大いにからかって麻衣子たちの元に戻る。
ギャーギャー言われながら、その場で不安そうにこっちを見るハルに遠くからウィンクした。



大丈夫、私たちはまだ始まったばかり。







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