キミ、が欲しい
【文化祭 / 後夜祭】



「昨日のファッションショー見たよ!超絶キレかった!その後一緒に回りたかったのにどこに居たのー?捜しても見つかんないし…グスン」



え、毎日来てる!?
本気で忘れてしまう、サッカー部の後藤先輩。
今日こそはお化け屋敷だぞって鼻息荒いけど…どうしよう?
全くその予定は入れてなかった。



「星那、行って来たら?今日フリーだし」



確かに模擬店に立たなくていいけど……
行く必要あるのか!?
水泳大会のリベンジとか意味わかんないし。
「お願い!お願い!」って、それは本気でやめて。



「あ、ちなみにVR型もあるよん」



「え?行く…」



さっさとそれ言ってよね?
VRとか超楽しそうじゃん。
「麻衣子たちも…」と誘おうとしたら「じゃあ行こう!」と手を引いて走り出した。



「行ってらっしゃーい」と2人とも手を振って見送らないでよ。
まぁ、すぐ終わるだろうし…少しの間ならいいか、なんて軽い気持ちで先輩と並んで歩いてた。
ずっと色んな質問されて正直ウザキャラだけど。



そんなとこ、バッチリとハルに見られてたなんて知る由もなく。



一緒に歩いているだけでこんなに目立つものなのか。
かなり見られてると思う。
隣でベラベラ喋る先輩に適当に相槌を打ちながら3年生の校舎へ。



“え?付き合ってるの?”
“1年の結城星那じゃん”
“俺も一緒に回りてぇ”



どこからともなくそんな声がして、先輩は気を大きくしたのか腰に手を回してきた。



「ちょっと…!」



「星那ちゃんって髪サラサラで綺麗だね」



「はぁ!?」



「着いたよ!」



「え……」







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