腹黒王子の初恋
腹黒王子の策略
【今日もお疲れさまでした。あーお腹すいた。弁当買って帰りまーす!】

 今日もゆうきゅんからLIMEが届いた。LIME交換をした日から毎日送られてくる。

【お疲れさまでした。遅くまで大変ですね。早く家で休んでください。】

 気の利いたLIMEを送れなくて嫌になる。人と関わってこなかったせいだなぁ。それでもゆうきゅんとのLIMEは少し慣れてきた。直接会って話すわけじゃないからまだやりとりできる。

 自分の家で食後のプリンを食べながらテレビを見る。

【ありがとうございます。梢先輩は夕食食べましたか。】
【今日は豚肉の生姜焼きを食べました。】
【わー!おいしそう。もしかして手作り?】
【はい。】
【おおー!いいなあ!写真送ってください】
【すしゅん】

 ぶっ!写真?むりむり!焦って変なの送っちゃった!

 ゆうきゅんからクマが笑ってるスタンプが送られてきた。

【何それ笑】
【写真はだめです。】
【えー!おいしそうなのに】

 今度はクマが拗ねてるスタンプが来た。うっ。かわいい…

【コンビに着きました。俺も生姜焼きにします。】
【それじゃ、また】

 ゆうきゅんは会社を出ると俺って言う。なんだかこそばゆい。会社とは違う普段の自分を見せてくれてるようで何だかそわそわする。

 ちょっと前までは遠目でゆうきゅんを観察して、妄想して…ってだけだったのに何だか不思議。それだけでよかったのに、毎日夜ゆうきゅんからのLIMEを楽しみに待ってる自分がいる。

 今コンビニかなぁ。妄想がむくむく…
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