腹黒王子の初恋
腹黒王子の告白
公園のベンチで水族館で買ったローストビーフサンドに二人でかぶりつく。

 さわやかな秋の空が広がっている。最近は寒い日もあるけれど今日は暖かい。遠くでは親子連れや、ランニングをしている人、犬の散歩をしている人、いろんな人たちがいる。

 私はそんな人たちをぼーっと眺めながらローストビーブを口に運んでいた。

 無言…

 さっきからずっとゆうきゅんも前を向いたままぼーっとしている。

 ゆうきゅんは私といてつまらなくないのかな。ノリも悪いし、たいしたこともしゃべれない。こんな私と遊んでくれている。

「あの、辻先輩ってすごいですよね。」
「え?」
「仕事もできてみんなに好かれてる。早く辻先輩みたいになりたい。背も高いし…」
「…」

 急に泰晴の話。思いつめたような表情。どうしたんだろ。やっぱり今日のゆうきゅんはおかしい。無邪気に話してくれたと思えば、急に目を逸らしたり。かといえばいつもどおりの笑顔だったり。急にだまりこんだり。

 ちょっと心配になる。

「えっと…今日体調悪いですか…?」
「うん?」
「今日ちょっとおかしいような…」
「…」
「解散しましょうか…?本もらいます。」


「はーーっ!」

 少しの沈黙の後、ゆうきゅんが大きな溜息をついた。

「もう。情緒不安定かよ。」

 またため息をつきながら頭をガシガシして呟く。

「私帰ります。私嫌われてるのにのこのこ着いてきて…すみません。」

 立ち会がって帰ろうとしたところを腕をつかまれた。

「待って!嫌われてるってなんですか?あ!今日の俺の態度ですよね。ホントすみません。先輩を嫌いなわけないじゃないですか。座ってください。」
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