琥珀の中の一等星
ライラの日記帳
 夜も更けて、湯も使ったのでこざっぱりとして気持ちが良かった。念入りに洗ったためにまだ少し湿っている髪をブラシでとかしながら、ライラは窓から吹き込むまだ涼しい風を味わっていた。最近学校で覚えた詩をくちずさみながら。
 学校で習ったのは『詩』であるが、勝手にメロディをつけていた。ゆったりと、物静かな、夜に良く似合う旋律をくっつけて歌いながら、髪をブラシでとかす。
 自分の髪は気に入っていた。わずかに水色を帯びている色が好きで、常に目にしていたかったので長く伸ばしている。胸のあたりまでくる長さなので、下ろしていれば毛先が目に入るのだ。
 クセがあまりないところも気に入っている。下ろしていてもそれほど邪魔にもならないので。もう少し暑くなれば自分の髪で暑さを感じてしまうので、結んだりまとめたりしてしまうのだけれど。
 あと二ヵ月もすれば夏の盛りになる。そのときのために、ヘアアクセサリーを買っておくのもいいかもしれない、なんて思ってみる。友達を誘って見に行こうか。
 そういえば次の日曜日には、雑多なものが売られる市(マルシェ)が立つ。
 手作りのアクセサリーを売っている露店も多く出ているので、行ってみよう。明日、学校で仲の良い子を誘ってみることにした。
 何色がいいかな、と思うがやはり髪がほんのり水色なので似合うのは青系なのであった。濃い青色のリボンや髪留めが良く似合う、と友達に褒められることが多い。
 昔、リゲルが言ってくれたことも手伝っているのだけど。
「髪の色とよく合うなぁ」
 あるとき褒めてくれたのだ。確か、どこぞの食事会に行くとかで少しお洒落な服を着せてもらったときのことだったはず。それは昔、まだずっと幼い頃であったけれど、ライラはちゃんと覚えていた。
< 9 / 74 >

この作品をシェア

pagetop