ねこねこ幼女の愛情ごはん~異世界でもふもふ達に料理を作ります!~
 身支度をしたふたりは、『青弓亭』に向かった。例のごとく、エリナはルディに抱っこされている。子猫がちょこちょこ歩くよりも、ルディの長い脚にお任せした方がスピードが出るし、朝から賑わう王都の街で迷子になることもない。

 エリナはもうひとりで歩くことを諦めて、キョロキョロと並ぶ店を眺めている。

(どこかに、日本風の調味料を売っている店はないかな)

 パンがあるのだから、酵母を使って発酵食品が作られていてもおかしくないはずだ。日本人であるエリナは、当然ながら味噌や醤油を使った料理が得意だし、米飯にも慣れている。パンもパスタも美味しく食べているが、やはりご飯が一番好きなのだ。

(コシヒカリなんて贅沢を言わないから、白いご飯が食べたいな。ううん、絶対に食べられるはず。だって、わたしはたくさんの幸運と一緒にここに来たんだもん。生きていく上で大切な『食』で、好物が食べられないなんていう事態になったら、『運命の輪(フォーチュナ)」の名がすたりますものね、フォーチュナさん?)
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