その頃王宮では、家族会議が始まっていた。
 出席メンバーは、前国王のギルバート、王太子のフランセス、そして現国王夫妻である。

「カルディフェンの養い子の様子はどうでしたか、父上」

 国王は、ギルバートに尋ねた。

 ルディが迷子の子猫の面倒を、なんと自分の家に同居させることまでしてみているという報告を聞いた時、彼らは耳を疑った。

 伝説の妖精獣フェンリルとして生まれたルディは、ある意味普通の獣人とは異質な存在だ。
 その能力は、獣人たちとは桁違いだし、番以外の女性とは男女交際ができない。『女性』として意識することができないのだ。

 他の誰よりも優れた容姿や力を持つルディであったが、成長していくにつれて周りとの関係に違和感を感じていった。特に思春期からは、健康な男性は女性に興味津々になり、恋に落ちるというのに、彼にはそれが理解できなかった。

 それに加えて、第一王子として生まれたのに、王位を継げない存在であるということで、彼は皆に気を使われているのを感じていたし、彼も周りに気を使っていた。
 そのひとつが、フランセスとそっくりの顔をさらさないようにと、常に狼の顔で過ごしているという行動だ。

『王家のシンボルはひとつでいい』

 そう言って、弟を立てる兄に対してフランセスはやるせない気持ちを抱き、そっけないようで誰よりも自分のことを考えてくれる兄になんとか幸せになって欲しいと願っていた。

 そのため、彼の番となる妖精獣探しも行っていたのだが、未だにその行方はわからないままである。