翌日、入り口に「本日はカレーライスです」と札が貼られた『青弓亭』には、たくさんの客が押し寄せた。
 暴力的と言って良いほどの食欲をそそるカレーの香りで、前の日の夜から王都の人々の心はカレーライスに対する欲求で黄色く染められていたのだ。

「俺の分まであるか? あるよな? あると言ってくれ!」

「ああ、早く食べたいなあ!」

 ちなみに、列の先頭は隣の雑貨屋の若主人であった。

「おい、きちんと並べ。これから食券を配るからな」

 カレーライスを求めてやって来た皆は、狼隊長の手にある木でできた食券を食い入るように見た。限定50食の食券はすべて配られて、期待に満ちた客たちの手にしっかり握り締められた。

 そして、この日カレーライスにありつけた幸運な客たちにより、『青弓亭』のカレーライスの美味しさが王都中に広まり、『青弓亭』の看板娘ならぬ看板料理人たちは、またしても王宮から呼び出しがかかったのであった。