エリナはミメットにしっかりと手を繋がれながら、市場を回った。

「ルディに頼まれたからね、まずは着る物を買うよ」

 ミメットは、シンプルな白いワンピース一枚しか持っていないエリナのために、既製服が売っている店に行った。そして、ルディから預かったお金を使って、普段着の着替えを3枚と下着を3セット、そしてナイトウェアがわりのすとんとした柔らかなワンピースを買った。

「おめかしする時に着る服は、後でルディと買いにくるといいよ。……あの狼隊長が、女の子の服を選ぶ姿を想像するとおかしいね」

 ミメットが笑いながら言ったが、エリナはルディにお金を使わせてしまったことが気になった。

(ミメットさんのところで働いて、お給金が入ったらルディさんに返そう)

 運が悪くて誰にも頼らずに生きてきたエリナは、他人に借りを作るのが怖かった。借りた以上のものを搾取されるのではないかと不安になるのだ。

「ほら、ついでにおやつでも買えって言われてるから、あの果物の搾りたてジュースでも飲もうよ」

「あ、ミメットさん、わたし……」

「あはは、子どもが遠慮することないさ! あのルディは堅物だから恋人もいないし、たっぷりとお金を稼いでいるのに使うあてがないんだからね。可愛い子猫に服やジュースを買ってやるくらいじゃ、懐が痛くも痒くもないんだよ」

 ミメットの兄は怪我をして辞める前は警備隊員だったので、その隊長であるルディがどのくらいの給料を貰っているのか見当がつくのだ。