ねこねこ幼女の愛情ごはん~異世界でもふもふ達に料理を作ります!~
 買った服の入った袋に『青弓亭』という札を付けると「じゃあ、配達を頼むね」と顔馴染みの店員に言って、エリナを連れたミメットは食料品を中心に市場を回った。

 この世界は、エネルギー源に魔石という魔力を封じ込めた物が使われているし、魔法使いも存在する。だいたい獣と人間のふたつの姿を持つ獣人自体が魔法の生き物なのだ。地球とはかなり環境が違うのだが、幸い食品に関しては地球と似通った物がほとんどだったため、エリナは安堵した。

 そういえば、エリナはこの世界の言語を流暢に話すことができるのはもちろん、読み書きも普通にできる。フォーチュナは、エリナが支障なく暮らせるようにと、様々なおまけを付けてくれたようだ。

「ミメットさん、『青弓亭』では朝食と夕食を出しているんですか?」

 肉料理から覚えたいというミメットの意向を生かして肉屋に向かいながら、エリナは尋ねた。

「そうだよ。と言っても、あたしの料理の腕があんなだから、来てくれるお客さんはほんの数人なんだ。昼は、警備隊のメンバーは忙しいから店は朝と晩だけにしているよ。うちの兄さんがいた時は、昼と夜とで店を開けてたんだけどね」

 どうやら普通は、朝は屋台の朝食を取るものが多いらしい。そして、ミメットの朝食があまりにも酷い時は、不幸な警備隊員は改めて屋台で食べてから仕事に行くこともあるとのことだ。
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