私にオカマと馴れ合う趣味はない
 高校デビュー。
 それは、思春期の少年少女達にとって一大イベントだ。
 友達ができるかできないか。
 異性にモテるかモテないか。
 全てはこの瞬間にかかっているのだ。

 私だってそうだ。
 春らしい桜をモチーフにした髪飾りを新調して、うきうきとした気分で登校してきた。
 春は出逢いの季節。
 格好いい男の子と運命的な出逢い……なんて少女漫画みたいなことは流石にないだろうけど、素敵な出逢いがあるかも、って。

 なのに。
 なのに、さあ。

「あなたも一年生?」

 なんて、背後から急に声をかけてきた美声の持ち主が。

「え?」

 ちょっとどきりとして振り返った先にいた長身のイケメンが。


「あら、ごめんなさい。驚かせちゃったかしら? つい声をかけちゃったのよ~。あなた、あたしとお揃いの髪飾りをつけてたから!」

「…………」



 オカマ、ってどういうことよ!?

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