宇宙で一番☆幸せな政略結婚
10章
「大切な手帳を落としたことも、気づかない程に慌てていたんだって思った。一度、検察局に届けにいったんだけど。もう退職しているって言われて、俺が持っていたんだ。これ持っていると、お前の事傍に感じられるから・・・」

「じゃあ・・・知らなかったのは、私だけなのね・・・」

「話そうとしたんだけど、なかなか向き合ってくれなくて。俺も、お金を稼ぐために必死になってたから・・・ごめん・・・」

 
 ギュッと抱きしめられると、何となくこの感触は前にも体験していると、あるとは思った。


「お腹の子は俺とお前の子供だ。だから、ちゃんと産んでほしい。もう何も、邪魔するものはないじゃないか」


 前よりもずっと、優しく聞こえる聖竜の声に、あるとはホッとさせられた。


「ごめん、本当に。でも、これからは絶対に遅くなったりしない。ちゃんと早く帰ってきて、一緒にいるから。車だって、今はないけど。そのうちまた買うから。だから、一緒に育てていこう」

 
 聖竜はそっと、あるとのお腹にてをあてた。

 そこは少しだけふっくらとして感じた。

 細身のあるとにしては、ちょっとお腹出ているかな? と感じるくらいだった。


 あるとはそっと、頷いた。


 頷いてくれたあるとに、聖竜はそっとキスをした。


 唇に触れる感触・・・

 この感触・・・そうだ・・・あの夜感じた。

 すごく大切に覆ってくれるようで・・・

 包み込んでくれる感触にホッとさせられた。


 キスが深くなると、だんだんとあるとの記憶が戻ってきた。

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