冷徹御曹司と甘い夜を重ねたら、淫らに染め上げられました
第一章
「……というわけで、この度私事ですが結婚することになりました」

部署内で幸せそうに結婚報告をしている男。それは私の同期で、大天使なんて異名があるくらい女子社員から絶大な人気があって、そして彼氏……いや、彼氏“だった”柊健一(ひいらぎけんいち)だ。

私、 大倉瑞穂(おおくらみずほ ) は祝福モードの渦の中、悶々と大失恋のショックにひとり打ちひしがれていた。
最低だよ、健一。私のことずっと騙してたなんて……。

先日、いつものデートをしていたところ、いきなり『瑞穂、ごめん。別れて欲しいんだ。実は……ほかに結婚する相手ができたんだ』『このことは、後日ミーティングで報告する』と言われ、わけが分からなかったけど、どうやら私は二股をかけられていたらしい。

付き合っていた期間は約一年。その間、ほかにも恋人がいたなんて全然気づかなかった。

お互い社会人二年目で、もしかして健一が結婚相手になったりするのかな? 私も二十五歳だし、そろそろ……。

なんて思っていた矢先の出来事だった。
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