冷徹御曹司と甘い夜を重ねたら、淫らに染め上げられました
第七章
花火大会の会場である浜辺は想像以上に人でごった返していた。

「その草履じゃ歩きづらいだろ」

「ええ、すみません。慣れない物を履くものじゃないですね」

レンタルで草履も借りたのはいいけれど、さすがに砂浜は歩きづらくて何度も足を取られてしまう。

「お前が派手に転ぶ前に向こうに行くか、出店があるぞ」

昨日、熱海駅前で転びそうになったばかり、また転んだらせっかくの浴衣も台無しだ。

海岸堤防の階段を上がると道沿いに綿あめやベビーカステラなど、縁日で見かけるような出店が並んでいて気分が高揚する。

「そうですね、わっ!」

砂浜から歩きやすいコンクリートの道になったと思いきや、浴衣の裾が足に絡んでつんのめる。

「おっと、言ってるそばから転ぶなって」

「すみません……」

再び安西部長の腕に支えられ、またやってしまった……。と反省の気持ちとは裏腹にドキドキと胸が高鳴る。

「ほら、掴まっとけ」

「え?」

「こうしとけば、もう転ばないだろ?」
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