この世界を、きみとふたり生きた奇跡。



看護師さんも、ベッド周囲の整理整頓をしたあと、部屋にあるお手洗いの場所や洗面台の位置、ナースコールの使い方を説明してから、


「なにかあったら、遠慮なく枕元にあるナースコールを押してくださいね。では、失礼します」


と、お医者さんに続くように病室を出ていった。


それからしばらくして、ほんの少しの明かりを残して暗くなった病室。それもそのはずだ。もう消灯時間をとっくに過ぎているのだから。


……それにしても、今日はとんだ災難だったなあ。自分がこれほどまでにドジだとは思ってもいなかった。


なんて思いながら、仰向けに寝ていた体をごろりと横に向けて床頭台に置かれていたスマートフォンを手にすると、すぐにメッセージを確認する。


照明の落ちた暗い部屋に、スマホの光は少しだけ眩しく感じたけれど、よく目を凝らしてみる。メッセージは、23件にも及んでいた。


そのどれもが、咲を含めた友達から。


学校へ戻ったら、本気で謝らなくちゃ。みんな、こんなにも心配してくれてたんだなあ。


……私、恵まれてるなあ、ありがたい。そんなことを考えていたら、気付けば眠りに落ちてしまっていたみたいで、私は真っ白な部屋のなかで朝を迎えた。


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